大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和38年(モ)1108号 決定 1963年11月16日

決   定

大阪市北区老松町三丁目六〇番地

申立人

(省略)

右申立人は、原告を有限会社山城商店外二名とし被告を株式会社正金とする当庁昭和三七年(ワ)第八六九号、原告を山城呉郎外二名とし被告を株式会社正金とする同年(ワ)第九四一号各請求異議事件につき、裁判官忌避の申立をしたので、当裁判所はつぎのとおり決定する。

主文

本件申立を却下する。

申立費用は申立人の負担とする。

理由

本件忌避申立の要旨は、「申立人は弁護士であるが、京都地方裁判所昭和三七年(ワ)第八六九号、同年(ワ)第九四一号、原告山城商店外、被告株式会社正金間の請求異議事件について、原告等の訴訟代理人として右訴訟を遂行中のものであるところ、右事件の担当裁判官(省略)は、昭和三八年九月三〇日午前一〇時の口頭弁論期日に法廷において、申立人に対し、申立人の訴訟技術の拙劣さを指摘して申立人の名誉、信用を痛く毀損した。同裁判官の発言そのものは、事件に対し直接の不公平とは考えないが、双方代理人に対する偏見又は先入観を抱くものとして、公正妥当な裁判は到底期待し得ないものである。よつて右事件について、同裁判官に対する忌避は理由がある旨の決定を求める。」というにある。

よつて調査するに、本件記録編綴の忌避申立書によれば、申立人は、右裁判官の担当する本件訴訟事件の原告等訴訟代理人であるが、独立して本件忌避申立をなしたもので、原告等を代理してなしたものでないと認められるところ、民事訴訟法第三七条によれば、裁判官忌避の申立をなしうるのは、当事者のみであつて、訴訟代理人であつても独立して忌避の申立をすることはできない。従つて本件申立は不適法であり、その欠は補正することができないものであるからこれを却下すべく、申立費用の負担について、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり決定する。

昭和三八年一一月一六日

京都地方裁判所第二民事部

裁判長裁判官 小 西   勝

裁判官 乾   達 彦

裁判官 堀 口 武 彦

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例